スンデクッの力強さと、静かな情熱　　～思い出すスンデスープ　霊通店～

2025年11月6日

霊通駅近くにある小さなお店「思い出すスンデスープ　霊通店（생각나는순대국 영통점）」。

店に入ると、男性スタッフがにこやかに挨拶してくれました。

木のカウンターに並ぶ椅子、紙灯りの下で黙々と手を動かす店員。
その空間には、言葉よりも先に湯気が立ちのぼっています。
料理の音、スープの香り、客の静かな背中。すべてが、食堂という舞台の一部になっていました。

ここでもタッチパネル注文。特に若者が多い街は、これが多い気がします。

メインメニューは、４種類のセットで、とてもシンプル。
スンデスープセット（순대국）　10,000ウォン
茹で肉定食（수육정식）　13,000ウォン
チョッパル定食（족발정식）　13,000ウォン
炎チョッパル定食（불족발정식）　14,000ウォン

本店は朝早くから営業していますが、ここは土地柄もあって夜遅くまで開いています。
仕事帰りの人や、遅い夕食を求める人たちにとって、頼もしい存在なのでしょう。
そして何より、厨房がとても清潔に保たれていたのが印象的でした。
日本でもここまでキレイな個人飲食店は珍しい。
忙しい時間帯でも、きちんと整えられた空間には、料理への誠実さが滲んでいました。

目の前で丁寧に食事を用意してくれ、
さぁ、出てきました^^

チョッパル定食（족발정식）　13,000ウォン

スンデスープセット（순대국）　10,000ウォン

スンデクッの隣には、丁寧に盛られたパンチャンたち。
スンデクッは庶民の味なのに、宮廷料理だと勘違いしそうなくらいキレイ。

キムチやカクトゥギも、しっかりとした味わいで、スープとの相性が抜群。
スンデの臭さも無く、それぞれの味を活かし、確かな存在感を持っていて、韓国料理の「調和」の美しさを感じました。
やっぱり、ここは美味しい。日本に帰ったら食べれない味。お店ごと日本に持ち帰りたい。

トレイ右上に置かれたチョッパルは、一口サイズで食べやすく、柔らかい肉質が心地よいな。
一緒に盛られた焼きエリンギは、香ばしくて、箸休めにちょうど良い。
チョッパル好きじゃないmonmon旦那でも、これはさっぱり食べれたようで、たくさん食べちゃっていました。

社長が私たちを覚えてくれてて、「本店で見かけた」と、訪問したことにすごく喜んでくださりました。
そしてコーラをいただいちゃいました。
これは、業務用のコーラ。ピザ屋とかチキン屋でもこの「業務用（업무용）」の文字を良く見かけます。
日本にはない文化なので、ちょっと不思議です。

聞けば、この「생각나는순대국 영통점」の店主は本店の友人だそうで、本店の味を忠実に守っていました。
私たちの「スンデスープは臭い」という常識を覆してくれた「생각나는순대국」がこのように支店を増やし、美味しい味を伝えてくれるのは嬉しい。

一口ごとに「守る」という行為の力強さと、そこに込められた静かな情熱が伝わってきそう。
それは、ただの再現ではなく、信頼と記憶を継承するお店でした。